近代科学社

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人工知能システムの構成基礎からエージェントまで

著者 小倉 久和
著者 小高 知宏

本書は、小倉が情報工学系の学生に10年あまりにわたって担当してきた授業の経験をもとに構成し、2人で分担して書き下ろしたものである。第6章,第7章,第8章は小高が、残りは小倉がそれぞれ分担し、全体としては小倉が内容と記述を統一した。
授業では、表面的に概念的にとらえられがちな人工知能のさまざまな機能がどのようにして実現されているか、その技術や方法、考え方を理解してもらうことに努力してきた。本書でもそこに心を砕いたつもりで、人工知能とは何か、どう働くのか、なにが課題か、これからの人工知能はどうなるか、など一緒に考えたかったのである。
ところで、情報系の学部・学科が増えており、また、人工知能に関する授業も広範な学部・学科で取り上げられてきている現状では、もう少し簡単で分かりやすく、かつ教養ではなく専門の一部としても使えるものが必要であると思われる。そこで、本書は、内容を精選し、読んで分かる記述にすることを心掛けたつもりである。

紙の書籍¥2,700定価(税別)

基本情報

発売日 2001年4月20日
ページ数 228 ページ ※印刷物
サイズ B5
ISBN 9784764902886
ジャンル 情報
タグ 人工知能, 教科書
電子書籍形式 販売なし

主要目次

1 知能とシステム
1.1 機能としての知能
知能的機械、人工の知能SHRDLU、知能システム
1.2 エージェントと知能のモデル
相互作用と対話、自律エージェントとマルチエージェント、低次機能から高次機能へ、進化と知能
1.3 人工知能の分野と本書の構成
人工知能の黎明、状態探索、自然言語処理、知識工学とエキスパートシステム、論理による知識処理、学習と知識の獲得、ユーザモデルとインタフェース、あいまいな知識、ニューラルネットの学習と進化学習、エージェントと人

2 知能と試行錯誤のアルゴリズム
2.1 状態空間探索
問題の表現と探索、状態遷移図と探索木
2.2 探索戦略
横型探索、縦型探索、状態遷移図と有限オートマトン

3 評価を用いた試行錯誤アルゴリズム
3.1 「行く末」の評価を用いた状態探索
状態の評価と探索径路の評価、「行く末」に基づく迷路の探索、コスト評価と価値評価、山登り法
3.2 「来し方」による最適径路の探索
最適径路探索、コスト、組合せ爆発、多目的評価、来し方と行く末をともに評価する探索
3.3 AND-OR木と2人ゲームの探索アルゴリズム
AND-ORグラフ、評価によるAND-ORグラフの探索、2人ゲームの探索、minimax探索、minimax戦略、α-β法

4 知識の表現と処理のアルゴリズム
4.1 述語による知識の表現と利用
述語、述語による記述と探索、状態記述とマッチング、状態の評価
4.2 知識の表現と利用
意味ネットワーク、フレーム、スクリプト、閉世界仮説とデフォルト推論
4.3 ルール知識表現
if-thenルールとファクト、if-thenルールによる知識表現、診断木、推論エンジン、ルールベース推論とエキスパートシステム

5 論理による知識処理アルゴリズム
5.1 論理式による知識表現
述語、命題、第1階述語、論理式による知識表現、論理演算の性質、限量記号とスコーレム関数、論理式の解釈と充足性
5.2 導出による推論
妥当な推論形式、節形式と節集合、節集合を導くアルゴリズム、導出と証明、単一化、ロビンソンの導出原理、導出による証明
5.3 述語論理による知識処理
知識処理の例、ホーン節による表現

6 言語処理のアルゴリズム
6.1 言語処理の階層
言語処理とは、言語処理における階層構造、外言と内言
6.2 テキスト処理としての言語処理
n-gramによるテキスト評価、計量言語学、表層的なテキスト処理による対話アルゴリズム、ELIZAとチューリングテスト
6.3 構文規則と機械翻訳
文の成り立ち、文の自動生成、句構造文法の階層、チョムスキーの生成文法、構文解析、構文解析の方法、機械翻訳、格文法、エージェント間のコミュニケーシモン、こんにゃく問答、くるまではこをほこぶ

7 学習のアルゴリズム
7.1 暗記学習と教示による学習
学習とモデル、学習の汎化作用、暗記学習、教示学習、判断木による分類学習、プロダクションシステムにおける学習
7.2 学習の汎化
事例との距離による学習、テンプレートマッチング、パラメタ調整による学習、評価関数の評価、教師あり学習と教師なし学習
7.3 例からの学習
記号列の例示による生成規則の学習、正例学習と負例学習、類推による図形の例示学習

8 ユーザモデルとインタフェース
8.1 システムとユーザモデル
CAIシステムと学習者、行動モデル、ユーザモデル
8.2 知的システムのユーザモデル
知的CAIシステムの学習者モデル、知的インタフェースのユーザモデル、挙動に基づくユーザ認証
8.3 交渉過程のモデル化とインタフェース 繰返しジャンケンのモデ化、自律システムの交渉モデル、ユーザモデルとユーザ意図、知的インタフェース

9 ファジィ論理とファジィ知識表現
9.1 ファジィ論理とファジィ知識表現
あいまい表現とファジィ集合、ファジィ述語とファジィ論理、ファジィ論理演算の性質、ファジィ集合、ファジィ集合演算、ファジィ関係、言語ヘッジ
9.2 ファジィ論理による推論
ファジィ述語と推論、ファジィ含意、一致度に基づくファジィ推論、多入力のファジィルール、多ルールのファジィ推論、射影に基づくファジィ推論、フィードバックファジィ制御

10 人工神経回路網の学習
10.1 ニューロ素子と人工神経回路網
コンピュータの万能性、しきい論理素子、神経細胞のモデル
10.2 フィードフォワードネットの学習
フィードフォワードネットとリカレントネット、神経網の学習、パーセプトロン、XOR問題、誤差逆伝搬学習法(BP法)、BP法の特徴、ニューラルネットと推論
10.3 リカレントネット
リカレントネット、自己組織化ネット、ホップフィールドモデル、セルオートマトン

11 進化的アルゴリズムと知能
11.1 遺伝と遺伝的アルゴリズム
遺伝と染色体、遺伝子とコドン、種と進化、地球環境と進化のモデル
11.2 遺伝的アルゴリズムの基本モデル
遺伝的アルゴリズムの基本、コーディング、評価、集団、遺伝的アルゴリズムの流れ、初期世代、メイティング、交叉、突然変異、選択・淘汰と世代交代、ビルディングブロックおよび多様性と一様性
11.3 遺伝的アルゴリズムによる学習
数値知識表現に対する遺伝的アルゴリズム、知識構造の最適化、メタ、遺伝的プログラミング

12 自律エージェントと知能
12.1 知的エージェント
自律エージェント、SRマリオ、行動とアクチュエータ、SRエージェント、認識知識の表現、サブサンプションアーキテクチャ、エージェントの教育と学習、旅行代理店
12.2 内部状態をもつエージェント
過去の記憶をもつSマリオ、内部記憶をもつエージェント
12.3 サッカーエージェントと協調
サッカーゲームとプレーヤ、自律エージェントとしてのサッカープレーヤ、パスプレーと協調、行動予測による協調とモデル、RoboCup、RoboCupシミュレーション、サッカーエージェント

終章 知的エージェントめざして
自律システムのユーザモデル、再帰的モデルと因果、フレーム問題、エージェントの知能階層、記号着地問題、エージェントの認知問題、考えるエージェント

付録 こんにやく問答
例題プログラムの解説
例題略解

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