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裏側から視るAI脅威・歴史・倫理

著者 中川 裕志

著者紹介

AIと人間社会の現実と未来を研究する!

本書は著者が所属する理研・革新知能総合研究センター 社会における人工知能研究グループの成果をもとに、AI の負の側面の紹介とAI設計・運用における倫理指針を示す構成となっている。第1章ではシンギュラリティ―AIが人間を超える可能性、第2章ではAIに奪われる仕事の範囲、第3章ではAIの発展の歴史、第4章では現状の「弱いAI」がもたらす数々の問題、第5章ではAI倫理を主軸とした社会制度の対応策について解説している。
AI技術に関する記述は基礎に留めつつ、人間社会におけるAIの影響という観点から書かれているため、社会学や社会工学の読者にも大変関心の高い内容である。

電子書籍¥2,420 小売希望価格(税込)

紙の書籍¥2,420定価(税込)

基本情報

発売日 2019年9月24日
本体価格 2,200円
ページ数 192 ページ ※印刷物
サイズ A5 変形
ISBN 9784764905993
ジャンル 情報
タグ 教養, 人工知能
電子書籍形式 リフロー型

主要目次

1 AI 脅威論:概念編
1.1 カーツワイルの言う「シンギュラリティ」
1.2 ボストロムの言う「超知能」
1.3 ユヴァル・ノア・ハラリの言う「ホモ・デウス」
 1.3.1 狩猟採集経済の時代
 1.3.2 農業経済の時代
 1.3.3 人間至上主義の時代
 1.3.4 アルゴリズムとデータ至上主義の時代
 1.3.5 近代的自己の概念の崩壊
 1.3.6 利己的なデータ
1.4 意識とデータ
 1.4.1 生命体はデータ処理するアルゴリズムか?
 1.4.2 意識と知能
 1.4.3 養老孟司の見方
 1.4.4 記号接地問題とフレーム問題
1.5 無用者階級の存在意義
 1.5.1 生物的多様性の確保
 1.5.2 文化的多様性の確保
 1.5.3 民主主義と自由主義
 1.5.4 陰鬱な未来

2 AI 脅威論:現実編
2.1 知的な職業が危ない
2.2 AI に脅かされないと言われている職業は本当に大丈夫か
 2.2.1 データ依存の仕事
 2.2.2 AI をビジネスで活用する仕事
 2.2.3 AI とビジネスの橋渡しの仕事
 2.2.4 AI の動作や結果を説明する仕事
 2.2.5 人間対応の仕事
 2.2.6 AI を導入しても経済的でない仕事
 2.2.7 AI システムを開発する仕事
 2.2.8 人間に対して責任を負う仕事
 2.2.9 その他の職業
2.3 職業が奪われた後のこと
 2.3.1 ベーシックインカム
 2.3.2 忘れられる技能
2.4 本章の最後に

3 AI 技術の簡略史
3.1 AI と IA
3.2 最初の夏と冬
 3.2.1 ダートマス会議
 3.2.2 第1次AIブーム:論理学を基礎にするAI
 3.2.3 1回目の冬の時代:基礎ツール開発の時代
3.3 二度目の夏と冬
 3.3.1 エキスパートシステム
 3.3.2 エキスパートシステムの問題点
 3.3.3 論理学を基礎に置くAIの挫折
 3.3.4 2回目の冬の時代:インターネットとデータ
3.4 三回目の夏
 3.4.1 第3次AIブームその1:機械学習とデータマイニング
 3.4.2 第3次AIブームその2:深層学習
 3.4.3 深層学習の先行きは不透明
3.5 ロボットにおける包摂アーキテクチャの提案
3.6 未解決問題
 3.6.1 記号接地問題
 3.6.2 フレーム問題
 3.6.3 人間は解いているのか?
 3.6.4 不都合な現実
3.7 今やらなければいけないこと
A.1 付録 AIの仕組みの詳細説明

4 AI の不都合な現実
4.1 フラッシュクラッシュ
 4.1.1 異常状態の予測検知システム
4.2 プロファイリング
 4.2.1 企業内名寄せ処理
 4.2.2 組織をわたる名寄せ
 4.2.3 サービス差別化
 4.2.4 ランキング
 4.2.5 不正確なプロファイリング
 4.2.6 プロファイリングに対する法制度
 4.2.7 追跡拒否
 4.2.8 忘れられる権利
4.3 プライバシー保護
 4.3.1 技術的解決策
 4.3.2 仮名化
 4.3.3 匿名化
 4.3.4 副作用:濡れ衣
 4.3.5 制度的解決策:同意
4.3.6 オプトアウトとAI エージェント
4.3.7 同意の非対称性
4.3.8 気を許すと危ないケース:家族
4.3.9 気を許すと危ないケース:コンパニオン・ロボット
4.3.10 気を許すと危ないケース:IoT
4.3.11 グループ・プライバシー
4.3.12 プライバシーの個人性
4.3.13 プライバシー暴露能力を人工知能の能力として持つべきか
4.4 インターネット中世の暗黒時代
 4.4.1 フィルターバブル
 4.4.2 フェイクニュース
4.5 軍事利用
 4.5.1 AI の倫理との関係
 4.5.2 自律型AI兵器
4.5.3 グループをなす自律AI兵器
4.5.4 戦争の倫理
4.5.5 AI 倫理指針との関係
4.5.6 デュアルユース
4.5.7 軍事用から民生用への流れ
4.5.8 民生用から軍事用への流れ
4.5.9 軍事用と民生用の境界の曖昧化

5 AI 倫理の目指すもの
5.1 透明性と説明可能性
 5.1.1 透明性 (Transparency)
5.1.2 説明可能性 (Explainability)
5.2 アカウンタビリティ
5.3 トラスト
 5.3.1 医師の例
5.3.2 AI のトラスト
5.4 フェアネス
 5.4.1 公平性
5.4.2 バイアス再考
5.4.3 アンフェア
5.5 AI 倫理の将来向かう方向
5.6 最後に
A.2 付録 各倫理指針の項目の要約

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著者紹介

中川 裕志(なかがわ ひろし)
1975 年 東京大学工学部電気工学科卒業
1980 年 東京大学大学院工学系研究科電機工学専攻修了.工学博士
1980 年 横浜国立大学工学部講師
1981 年 横浜国立大学工学部助教授
1994 年 横浜国立大学工学部教授
1999 年 東京大学情報基盤センター教授
2003 年 東京大学大学院学際情報学府兼担
2004 年 東京大学大学院情報理工学系研究科数理情報学専攻兼担
2018 年 東京大学名誉教授
同  年 理化学研究所 革新知能統合研究センター 社会における人工知能研究
グループ グループディレクター
専門分野は人工知能,プライバシー保護,人工知能倫理など .
著書に『東京大学工学教程情報工学:機械学習』(単著,丸善出版)
『プライバシー保護入門 ―法制度と技術―』(単著,勁草書房)
『言語の数理(第1章 数理言語学)』(共著,岩波講座「言語の科学」第8巻)
『電子計算機工学』(単著,朝倉電気・電子工学講座 17)

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