数学
離散数学への入門わかりやすい離散数学
本書は、情報科学や工学における基礎となる離散数学の入門的内容をできるだけ体系的に説明し、かつ多数の演習問題を配置することで、初学者の理解を助けることを目的としている。
本文中の記述はできるだけ簡潔に、かつわかりやすくすることに気を配った。そして、章末には できるだけ多数の演習問題を用意した。第1章で論証の形式に少しスペースを割いた。これは、学生たちは証明が苦手で、何を証明すべきなのか、そして、どのように論証を組立ててよいかわからない学生も多数いるからである。
高等学校の数学の教科書は我々の時代に比べて極端に薄くなってしまったが、それはともかく、論証の形式については数学Aにあり、これが選択科目となっているため、「必要十分条件」についても「聞いたことがある」などと答えるのである。前著で1章ずつ割いていた「形式言語」と「ブール代数」関係の記述は、ごく簡単にした。代わりに、6章では整数を対象として代数系への導入をはかり、現代暗号への取っ掛かりも入れてみた。
電子書籍¥2,400 小売希望価格(税別)
紙の書籍¥2,400定価(税別)
基本情報
発売日 | 2005年12月10日 |
---|---|
ページ数 | 236 ページ ※印刷物 |
サイズ | A5 |
ISBN | 9784764903210 |
ジャンル | 数学 |
タグ | 離散数学, 教科書 |
電子書籍形式 | 固定型 |
主要目次
第1章 論理と証明
1.1述語と論理演算
命題、述語、限量子、否定、選言と連言、排他的選言、含意
1.2 論理と証明
証明の形式、対偶問題による証明、逆・裏・対偶、必要条件と十分条件、背理法
【コラム:逆問題】
1章の演習問題
第2章 離散集合
2.1集 合
集合の表現、離散集合
【コラム:コンピュータにおける集合表現、有理数と実数の稠密性】
2.2 集合演算
部分集合と包含関係、ベキ集合、集合と述語、論理演算の性質、集合演算、直和、集合演算の性質
【コラム:演算と演算結果】
2章の演習問題
第3章 写像・関数
3.1対応と写像
対応、集合の直積、部分写像と写像、全射・単射・全単射、対等な集合
3.2 写像と関数
関数、逆写像、多変数写像(多変数関数)、関数の行列表現、写像(関数)の合成、置換の合成
【コラム:置換の積の解釈】
3章の演習問題
第4章 帰納法
4.1無限の数え挙げ
自然数と可付番集合、無限集合の濃度
4.2 帰納法と自然数
数学的帰納法、自然数とペアノの公理
4.3 帰納的定義
帰納的定義、無限集合の帰納的定義、数式の集合、帰納的アルゴリズム、ハノイの塔、リスト
【コラム:コンピュータ・プログラムと帰納的関数】
4章の演習問題
第5章 離散関係
5.1関 係
2項関係、関係と写像、関係の和と合成
【コラム:関係データベース】
5.2 関係グラフと関係行列
関係グラフ、関係行列、関係行列の和と積
【コラム:多重関係】
5.3 同値関係
関係の性質、推移的閉包、同値関係、同値類
【コラム:同値類による分類】
5章の演習問題
第6章 整数演算
6.1数値演算
四則演算、実数における四則演算の性質、整数の集合における演算、素数と約数、最大公約数とユークリッドの互除法
6.2 剰余演算の代数
剰余演算、合同関係、剰余系における演算、2を法とする剰余系
【コラム:最小剰余と2の補数表現】
6.3 剰余演算と暗号
一方向性関数、離散対数、暗号への利用
【コラム:素数判定法】
6章の演習問題
第7章 離散代数系
7.1演算と代数系
演算、代数系、等式と演算、単位元と逆元、交換律、結合律
7.2 群とモノイド
群、逆演算、正規部分群と剰余系、剰余系の代数、置換の代数、巡回置換と互換、巡回群、文字列の演算、モノイド
7.3 数の代数系
体、環、整数の剰余系による体
【コラム:多項式の環】
7章の演習問題
第8章 順序集合と束
8.1順序関係と順序集合
順序関係、順序集合の表現、約数関係、派生語関係、集合の包含関係、分割、上限と下限、約数関係の上限と下限
8.2 順序集合と束
順序集合上の和と積、束の性質、約数関係のつくる束、分割の作る束、分配束、補元、双対律、ブール束
8.3 ブール代数
ブール代数の公理的定義、ブール代数の性質、等式の変形、ブール代数β2、ブール関数とブール形式
8章の演習問題
第9章 離散グラフ
9.1有限離散グラフ
離散グラフ、無向グラフと有向グラフ、同型グラフ、節点の次数、径路・順路、連結性
9.2 グラフの隣接行列
グラフの表現、隣接行列、隣接行列のブール和とブール積、多重グラフの隣接行列、有向グラフの隣接行列
9.3 離散グラフの特徴
グラフの特徴、補グラフ、オイラーグラフ、ハミルトン閉路
【コラム:平面グラフ】
9章の演習問題
第10章 木グラフ
10.1木
無向木、全域木、有向木、板付き木、根付き木の順序構造、順序木、派生語関係と辞書式順序、順序木の表現、リスト
【コラム:ディレクトリの木と決定木、2分木リスト構造】
10.2 グラフの探索と探索木
探索木、横型探索と縦型探索、順序木の縦型探索、重み付きグラフの探索、最小全域木の探索
10.3 構文木
関数のリスト表現、数式の表現、数式の構文木
【コラム:文の構文木】
10章の演習問題
参考図書
練習問題略解
索引
1.1述語と論理演算
命題、述語、限量子、否定、選言と連言、排他的選言、含意
1.2 論理と証明
証明の形式、対偶問題による証明、逆・裏・対偶、必要条件と十分条件、背理法
【コラム:逆問題】
1章の演習問題
第2章 離散集合
2.1集 合
集合の表現、離散集合
【コラム:コンピュータにおける集合表現、有理数と実数の稠密性】
2.2 集合演算
部分集合と包含関係、ベキ集合、集合と述語、論理演算の性質、集合演算、直和、集合演算の性質
【コラム:演算と演算結果】
2章の演習問題
第3章 写像・関数
3.1対応と写像
対応、集合の直積、部分写像と写像、全射・単射・全単射、対等な集合
3.2 写像と関数
関数、逆写像、多変数写像(多変数関数)、関数の行列表現、写像(関数)の合成、置換の合成
【コラム:置換の積の解釈】
3章の演習問題
第4章 帰納法
4.1無限の数え挙げ
自然数と可付番集合、無限集合の濃度
4.2 帰納法と自然数
数学的帰納法、自然数とペアノの公理
4.3 帰納的定義
帰納的定義、無限集合の帰納的定義、数式の集合、帰納的アルゴリズム、ハノイの塔、リスト
【コラム:コンピュータ・プログラムと帰納的関数】
4章の演習問題
第5章 離散関係
5.1関 係
2項関係、関係と写像、関係の和と合成
【コラム:関係データベース】
5.2 関係グラフと関係行列
関係グラフ、関係行列、関係行列の和と積
【コラム:多重関係】
5.3 同値関係
関係の性質、推移的閉包、同値関係、同値類
【コラム:同値類による分類】
5章の演習問題
第6章 整数演算
6.1数値演算
四則演算、実数における四則演算の性質、整数の集合における演算、素数と約数、最大公約数とユークリッドの互除法
6.2 剰余演算の代数
剰余演算、合同関係、剰余系における演算、2を法とする剰余系
【コラム:最小剰余と2の補数表現】
6.3 剰余演算と暗号
一方向性関数、離散対数、暗号への利用
【コラム:素数判定法】
6章の演習問題
第7章 離散代数系
7.1演算と代数系
演算、代数系、等式と演算、単位元と逆元、交換律、結合律
7.2 群とモノイド
群、逆演算、正規部分群と剰余系、剰余系の代数、置換の代数、巡回置換と互換、巡回群、文字列の演算、モノイド
7.3 数の代数系
体、環、整数の剰余系による体
【コラム:多項式の環】
7章の演習問題
第8章 順序集合と束
8.1順序関係と順序集合
順序関係、順序集合の表現、約数関係、派生語関係、集合の包含関係、分割、上限と下限、約数関係の上限と下限
8.2 順序集合と束
順序集合上の和と積、束の性質、約数関係のつくる束、分割の作る束、分配束、補元、双対律、ブール束
8.3 ブール代数
ブール代数の公理的定義、ブール代数の性質、等式の変形、ブール代数β2、ブール関数とブール形式
8章の演習問題
第9章 離散グラフ
9.1有限離散グラフ
離散グラフ、無向グラフと有向グラフ、同型グラフ、節点の次数、径路・順路、連結性
9.2 グラフの隣接行列
グラフの表現、隣接行列、隣接行列のブール和とブール積、多重グラフの隣接行列、有向グラフの隣接行列
9.3 離散グラフの特徴
グラフの特徴、補グラフ、オイラーグラフ、ハミルトン閉路
【コラム:平面グラフ】
9章の演習問題
第10章 木グラフ
10.1木
無向木、全域木、有向木、板付き木、根付き木の順序構造、順序木、派生語関係と辞書式順序、順序木の表現、リスト
【コラム:ディレクトリの木と決定木、2分木リスト構造】
10.2 グラフの探索と探索木
探索木、横型探索と縦型探索、順序木の縦型探索、重み付きグラフの探索、最小全域木の探索
10.3 構文木
関数のリスト表現、数式の表現、数式の構文木
【コラム:文の構文木】
10章の演習問題
参考図書
練習問題略解
索引