Interviewee
竹之内 宏博士(工学)
2013年 関西大学大学院博士課程後期課程修了
同年 同大学 非常勤研究員、ポストドクトラルフェロー
2014年 福岡工業大学情報工学部システムマネジメント学科(現 情報マネジメント学科)助教。感性情報処理に関する研究に従事。主に、人の感性情報を用いたレコメンドシステムに関する研究に取り組んでいる。
著者の竹之内 宏先生に著書の特徴や教科書の使い方のポイントなどをお伺いしました。
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Q. どのようなことを意識して『感性情報処理』(以下:本書)をご執筆されましたか。
竹之内ー感性工学という科目を新たに担当することになったことが大きなきっかけです.感性工学や感性情報処理は感性の計測方法や仮説検定,多変量解析など多くの分野を網羅的に含んでいるため,既判の専門書1冊をテキスト指定するだけではカバーしきれないと感じました.そこで新授業に向けて一念発起し,これまでの自身の研究経験も踏まえて,感性情報処理,特に印象分析に焦点を当て,学習できるテキストを執筆させていただけることになりました.
関連分野が多岐に渡ることから,著者自身も研究活動に取り組む中でも逐一独学で知識を身につけてきました.それらの中から「感性情報処理というのはこんな学問なんだ」ということをざっくりと知っていただけるよう注力しました.このため,1つ1つの章は基本的な内容に厳選しています.より詳しく知りたい場合は,章末の参考文献を参照してもらえれば幸いです.
Q. 教科書として使いやすいように工夫した点を教えてください。
竹之内ー感性計測方法やデータ解析はもちろんですが,これらを使いこなすためには評価対象となる画像や音,色など特性や性質など基本事項を知っておくことで,解析や考察のレベルも一段高くなると考えられます.そのため,テキストの前半2~4章では,これらの物理量についての基本事項をまとめています.その後,5章から感性計測方法や仮説検定,印象分析における代表的手法であるSD法とのその解析方法であるプロフィール分析と多変量解析についてまとめています.最後に,感性情報を計測し解析するだけでなく,システムの一部として取り入れることのできるファジィ推論についてまとめています.
また,多変量解析の本質的な理解については数学的知識を要します.この点について,本書では「Rを使用して多変量解析を正しく実行でき,結果を正しく解釈できるようになる」ことを目標に解説しています.そのため,数学的な知識を要する解説は最小限にしています.
Q. 教える立場での本書の使い方のポイントなどがあれば教えてください。
竹之内ー半期15回授業にて1章を1回分の授業に充てるイメージで構成しています.本書は12章構成ですので,残り3回分の授業は確認テストをしたり,SD法のアンケート演習(アンケート作成から回答収集,プロフィール分析や多変量解析を用いた結果分析まで)などを取り入れたり,様々なアレンジが可能です. 特に,SD法やその結果の解析手法については,講義による知識教授だけでなく,実際にアンケート作成・回答収集・結果分析と考察を経験して,はじめて身につくものや気づきがあると感じています.アンケート回答収集も学生同士で行えるようにすることで,互いに作成したアンケートの良しあしに気づくことができると思います.
Q. 自習など自学で使うときの本書の使い方のポイントなどがあれば教えてください。
竹之内ーSD法に関する一連の解析方法については,本書に記載されているExcelやRを用いたやり方を学習することで使いこなせるようになると思います.自学の場合は,実際にアンケート収集をすることは困難であると想定されますが,現代では,オンラインでのアンケート収集ツールが様々存在しています.これらを使うことで,実際にアンケート設計から回答収集・結果分析と考察までを一貫して行えます.
Q. インタビューをお読みいただいた皆様へメッセージをお願いします。
竹之内ー感性情報処理に興味のある方にぜひ読んでいただければと思います.技術的に新しいことに触れるというよりは,感性情報を解析しようとすると,仮説検定や平均・分散値などの基本統計量,さらには主成分分析やクラスタリングなどの多変量解析がどのように使用されているか,じっくりと理解しながら学習していただければ幸いです.
竹之内先生お忙しい中、誠にありがとうございました。
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【株式会社 近代科学社】
株式会社近代科学社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:大塚浩昭)は、1959年創立。
数学・数理科学・情報科学・情報工学を基軸とする学術専門書や、理工学系の大学向け教科書等、理工学専門分野を広くカバーする出版事業を展開しています。自然科学の基礎的な知識に留まらず、その高度な活用が要求される現代のニーズに応えるべく、古典から最新の学際分野まで幅広く扱っています。また、主要学会・協会や著名研究機関と連携し、世界標準となる学問レベルを追求しています。