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『高校と大学をつなぐ線形代数』
著者 原 靖浩スペシャルインタビュー

 



Interviewee

原 靖浩 (はら やすひろ)
1997年3月 大阪大学大学院理学研究科博士後期課程修了
1997年4月 大阪大学大学院理学研究科助手
2007年4月 大阪大学大学院理学研究科助教



著者の原 靖浩先生に著書の特徴や教科書の使い方のポイントなどをお伺いしました。

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Q.  どのようなことを意識して『高校と大学をつなぐ線形代数』(以下:本書)をご執筆されましたか。
ー本書は、主に関西大学での講義のために作成した資料をもとに執筆しました。講義で実際に使いながら、学生の反応や理解の様子を見て、説明や例題を少しずつ修正してきたものが土台になっています。
通常の大学の教科書と同様に、多くの定理に証明をつける一方で、基本的な計算例や例題も多く載せています。定理の内容をそのまま適用するような問題であっても、最初は何をすればよいかわからないという学生が少なくないためです。
内容としては、行列式の定義に置換を使っていないこと、また、数ベクトル空間で線形写像や行列の対角化を扱った後に一般のベクトル空間へ進むことが特徴です。
理論を抽象的に整理することよりも、学生が順を追って学習しやすく、理解しやすい流れになることを意識して構成しました。

Q. 教科書として使いやすいように工夫した点を教えてください。
ー上に書いたように、計算例や例題を多く入れ、理論だけで内容が進んで「何をしているのかわからない」という状況にならないようにしました。 また、行列式については、置換を用いて定義すると定義の理解だけで多くの時間が必要になるため、本書ではそれを避けています。 さらに、数ベクトル空間で線形写像や行列の対角化を学んだ後に、一般のベクトル空間を扱う構成にしています。この点については意見の分かれるところかもしれませんが、一般論を先に学ぶと、その後に扱う問題の多くが数ベクトル空間の場合になるため、「なぜ一般のベクトル空間を考えるのか」が見えにくくなることがあります。 そこで本書では、まず具体的な数ベクトル空間で基本的な理論を学び、その後で一般化することで、「同じ考え方がより広い対象にも成り立つ」ということが自然に理解できるような構成にしました。

Q. 教える立場での本書の使い方のポイントなどがあれば教えてください。
ー本書では、YouTubeで解説動画を見られるようになっています。ただし、これは独学用というより、授業を「反転授業」の形で行い、授業中に演習の時間を多く取るためのものです。「反転授業」とは、学生が事前に動画などで内容を学習し、授業では演習を中心に進める授業形態です。 学生にとって数学の学習は、まず問題を解いてみることから始まり、その後で「何をしているのか」や「概念の意味」を理解していく面があるように思います。そのため、授業では演習の時間を十分に確保することが重要だと考えており、解説動画は主に予習用として利用してもらうことを想定しています。 もちろん、「反転授業」にしたからといって、教員がまったく説明をしないわけではありません。学生がつまずきやすい部分や特に重要な点を授業中に補足することで、理解につなげていくことが大切だと考えています。 また、すべてを反転授業にする必要はなく、一部だけでも動画を利用して演習時間を増やすなど、それぞれの授業に合わせて活用していただければと思います。

Q. 自習など自学で使うときの本書の使い方のポイントなどがあれば教えてください。
ー自学で使用する場合は、大学の授業に先立って線形代数の内容を学習したい人などに向いていると思います。 一方で、本書だけを用いて独学で線形代数を学ぶ場合には、計算例や例題の問題が解けるだけで終わらないことが大切です。例題の多くは、定義や定理の内容を確認するための問題になっています。 そのため、問題を解いた際には、「この問題を通してどの定義や定理を確認しているのか」を意識しながら学習を進めてほしいと思います。

Q. インタビューをお読みいただいた皆様へメッセージをお願いします。
ー大学1年生で学ぶ数学は、解析学と線形代数が中心になることが多いと思います。解析学は、一部の細かい論理的な部分を除けば、高校数学とのつながりが見えやすい一方で、線形代数については「難しい」という声を聞くことがあります。 確かに、「行列」「線形写像」「一般のベクトル空間」といった新しい概念が多く登場します。しかし、一つ一つの内容を丁寧に学んでいけば、決して特別に難しいものではありません。また、線形代数で学ぶ考え方は、その後に学ぶさまざまな分野につながっていきます。問題を解きながら、それぞれの概念が何を意味しているのかを少しずつ理解していってもらえればと思います。
原先生お忙しい中、誠にありがとうございました。
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高校と大学をつなぐ線形代数

本書は、高校から大学への橋渡しを意識しつつ作成したものです。多くの定理に証明を与え、 従来の大学数学の教科書的な側面を備える一方で、高校の教科書のように計算例・例題・基本問題を多く配置し、大学初年次における学習のしやすさに配慮しました。さらに、本書は従来型の講義を反転授業に展開するために用意した教材です。反転授業とは、解説動画によって予習を行い、授業時間には演習を中心に進める形式です。そのため、本書には対応する解説動画を併せて用意しています。

 


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【株式会社 近代科学社】

株式会社近代科学社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:大塚浩昭)は、1959年創立。
数学・数理科学・情報科学・情報工学を基軸とする学術専門書や、理工学系の大学向け教科書等、理工学専門分野を広くカバーする出版事業を展開しています。自然科学の基礎的な知識に留まらず、その高度な活用が要求される現代のニーズに応えるべく、古典から最新の学際分野まで幅広く扱っています。また、主要学会・協会や著名研究機関と連携し、世界標準となる学問レベルを追求しています。