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『改訂新版 ファーストステップ ITの基礎』
著者 國友 義久 スペシャルインタビュー




Interviewee

國友 義久
元日本IBM(株)。SE、システムサイエンスマネジャー、研修主管、研修コンサルテーションプログラム担当などの職種を歴任、1994年長野大学産業社会学部産業情報学科教授、2003年大阪成蹊大学現代経営情報学部現代経営情報学科教授、2008年3月退職。



2011年の刊行以来、多くの大学や専門学校でIT技術の教科書として採用され続けてきた『ファーストステップ ITの基礎』。今夏、待望の改訂新版が発刊されました。そこで、著者の國友 義久 先生に『改訂新版 ファーストステップ ITの基礎』の特徴や改訂前との具体的な違い、教科書の使い方のポイントなどをお伺いしました。

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Q.  どのようなことを意識して『改訂新版 ファーストステップ ITの基礎』(以下:本書)をご執筆されましたか。
國友ー本書を最初に出版した2011年以降10年余が経過し、その間ITの進化は著しいものがあり、ITを取り巻く環境は一変しています。特にインターネットをベースにした情報検索やAIを始めとするいろいろなアプリの実用化によって、ITは現代社会において日常生活の基盤技術として定着したといっても過言ではありません。電車に乗ると、かっては多くの乗客が漫画雑誌を読んでいる光景が見られましたが、最近では、ほとんどの乗客がスマホの操作をしている光景に変わってしまいました。
しかし、ITによるアプリが多様化しても、コンピュータの基本原理が変わったわけではありません。コンピュータがハードウェアとソフトウェアの協働でいろいろなアプリを稼働し、情報の伝達に有線や無線の通信回線を利用していることは昔も今も変わりありません。もちろん、性能の向上は目を見張るものがありますが。ノーベル賞受賞の学者は、口を揃えて基礎研究の重要性を指摘しています。何事も基礎を学ぶことから始めることが重要です。
本書は、ITの基礎原理をしっかり説明し、そのうえで、IT環境の最新の状況をできるだけ反映して、内容の充実を図るべく改定版を作成しました。

Q. 改訂前と異なる具体的なポイントをお教えください。
國友ー全体としては、最近の新しいIT環境を反映した内容にしています。
具体的には、
(1)コンピュータのハードウェアとして、CPU、入出力装置、補助記憶装置、さらに通信回線の最近の性能向上を含めた内容の充実
(2)ソフトウェアとして、オペレーティングシステム機能の説明内容の追加、国が提案しているプログラミング教育の必要性を反映して、基本的なアルゴリズム(探索、併合、分類、合計など)の流れ図による例示、AIに関する説明の追加
(3)インターネットの活用例として、IoTやクラウドコンピューティングの説明の追加
(4)情報セキュリティに関して、サイバー攻撃の種類やウイルス、それに対する防御策などの説明追加
(5)ITパスポート試験問題を最新のものに更新
などです。


Q. 教科書として使いやすいように工夫した点を教えてください。
國友ー本書は、初めてコンピュータを本格的に学ぼうとしている大学生や専門学校の学生に対し、筆者が大学で教鞭をとっていたときの経験をもとに執筆しました。さらに、他大学や専門学校で教鞭をとられている先生方のアドバイスをできるだけ採り入れ、ワンセメスタ(15週)でITの基礎が学べるように作成してあります。内容的には、情報処理推進機構(IPA)が実施しているITパスポート試験のアジェンダ(テクノロジ)に沿ったものになっています。機能やアプリの説明に関して、単なる事実を羅列した硬い内容でなく、なぜそれが必要かをフレンドリーに説明しています。

Q. 教える立場での本書の使い方のポイントなどがあれば教えてください。
國友ー無味乾燥な教え方にならないようにするために、本書はWHATの説明に加えて、WHYの説明を重視し、学生の動機付けを行っています。また、基本的には、1章を90分で教えられるように編集しています。しかし、特にそれにこだわることなく、学生の理解度を観察しながら、自由に進めていただければと考えています。内容的には、前半は軽めに、後半は重めの内容になっていますので、調整していただければ幸いです。各章の終わりに、その章で理解しておく必要のある内容のまとめと、基本的な練習問題を掲載していますので、学生の理解度を確かめるために利用していただければと思います。

Q. 自習など自学で使うときの本書の使い方のポイントなどがあれば教えてください。
國友ー自習の場合は、授業のような時間的な制限はありませんので、自分のペースで学習していただければ結構です。その場合、各章で理解しておく内容を章のまとめで確認し、それを確かめるために、必ず練習問題を解いてみてください。ITパスポート試験に挑戦するといった具体的な動機付けがあれば、自習にも身が入ると思います。

Q. インタビューをお読みいただいた皆様へメッセージをお願いします。
國友ー日本では、世界的に見て情報化の遅れが指摘されています。そして、情報技術者の不足も指摘されています。情報技術者には、スマホの使い方に熟練するだけでなく、やはりITの基本原理をしっかり理解し、身に付ける必要があります。ITを本格的に学ぶことによって、企業への就職にも有利に働くことと思います。本書を第一ステップとして、学生を初め多くの方々により深い技術を身に着けていただければ幸甚です。
國友先生お忙しい中、誠にありがとうございました。
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インタビューの中で出てきた書籍情報はこちら!

改訂新版 ファーストステップ ITの基礎

【IT技術の教科書として人気の書籍が、改訂新版になって登場!】

 本書はITの基本的な原理を中心に解説した教科書であり、各章のねらいやまとめ、練習問題などを通してITの基礎を十分に理解することができます。
 更に初版刊行から現在までに起こった目覚ましい情報技術の発展を受けて、改訂新版では新たな技術やテーマを盛り込みました。具体的にはAI、IoT、情報セキュリティ、モバイル通信などの技術を取り上げ、アルゴリズムやプログラミングなどの説明もより充実させています。ITの基礎を1から学ぶためにこの上ない一冊です。

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【株式会社 近代科学社】

株式会社近代科学社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:大塚浩昭)は、1959年創立。
数学・数理科学・情報科学・情報工学を基軸とする学術専門書や、理工学系の大学向け教科書等、理工学専門分野を広くカバーする出版事業を展開しています。自然科学の基礎的な知識に留まらず、その高度な活用が要求される現代のニーズに応えるべく、古典から最新の学際分野まで幅広く扱っています。また、主要学会・協会や著名研究機関と連携し、世界標準となる学問レベルを追求しています。