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数学

ISMシリーズ:進化する統計数理 第2巻

フィールドデータによる統計モデリングとAIC

著者 島谷 健一郎
編集 樋口 知之
編集 中野 純司
編集 丸山 宏

著者紹介

本書は大変好評を得ている『ISMシリーズ』の第2巻である.
 著者が実際の現場で集めたフィールドデータを材料にして,現場視点と統計モデリング視点とで複眼的に考察し,赤池情報量規準素直にデータを見ることによってフィールドワークだけでは得られない発見を得ることが出来ることを詳説している.
 数理を得意としないフィールドワーカーと,フィールド経験が少なくフィールドデータに馴染みの薄い数理系の読者を対象に,赤池情報量規準AICとそれを用いたモデル評価という統計数学についての異色の入門書である.

電子書籍¥3,700 小売希望価格(税別)

紙の書籍¥3,700定価(税別)

基本情報

発売日 2012年8月29日
ページ数 232 ページ ※印刷物
サイズ B5 変形
ISBN 9784764904286
ジャンル 数学
タグ 統計・確率
電子書籍形式 固定型

主要目次

1 統計モデルによる定量化と AICによるモデルの評価—どのくらい大きくなると花が咲くか
1.1 森の木にも花は咲く
1.2 野外観察による開花データ
1.3 開花する大きさを数値で表すには?
1.4 開花という現象を確率で考える
1.5 尤度と最尤法
1.6 花が咲く大きさに最尤推定値で答える
1.7 花が咲く大きさから見える種の多様性
1.8 花が咲く大きさは種によって異なっているか
1.9 赤池情報量規準 (AIC)
1.10 開花率の直径依存性も AIC で確認する
1.11 開花率の環境依存性
1.12 最大対数尤度からパラメータ数を引く不思議
1.13 確率変数と確率分布
1.14 2 項分布モデルと最尤法
1.15 結果が同じでも“面白い”と感じるか

2 最小 2乗法と最尤法、回帰モデル—樹木の成長パターンとその多様性
2.1 木の直径と高さ
2.2 1 次式による回帰と最小 2 乗法
2.3 2 次の回帰式のほうがよいか
2.4 連続型確率変数と正規分布
2.5 回帰モデルと最尤法
2.6 AIC により不必要に複雑なモデルを知る
2.7 最尤法をマスターするか最小 2 乗法で十分か
2.8 データの下で適度に複雑なモデル
2.9 確率分布の平均と分散
2.10 メカニズムに基づくモデル
2.11 生物の種多様性を定量的に評価する

3 モデリングによる定性的分類と定量的評価—ペンギンの泳ぎ方のいろいろ
3.1 ペンギンは大洋で 500 m 潜る
3.2 3 次元移動軌跡を描けるデータ
3.3 方向変化の分布とその分散
3.4 正規分布モデル
3.5 シミュレーションにより適合度を観る
3.6 混合正規分布モデル
3.7 定性的分類と定量的指標

4 AIC の導出———どうして対数尤度からパラメータ数を引くのか
4.1 AIC は 4 つのアイデアに基づいている
4.2 統計モデルが実データと“合っている”とは?
4.3 統計モデリングの目標
4.4 カルバック–ライブラー情報量と平均対数尤度
4.5 平均対数尤度はデータの対数尤度で近似できる
4.6 最大対数尤度による近似は不十分
4.7 最大対数尤度を補正して使う
4.8 正規分布モデルの平均対数尤度と対数尤度
4.9 実例で近似の不成立を見るための準備
4.10 最大対数尤度と平均対数尤度の差をみる
4.11 パラメータ数が出てくるからくりを知りたい
4.12 対数尤度と平均対数尤度の差を 3 つに分ける
4.13 平均対数尤度函数の 2 次の近似式
4.14 3 番目の成分の正規分布モデルの場合の計算
4.15 最尤推定値の周辺は正規分布で近似できる
4.16 ついにパラメータ数が現れた
4.17 AIC の式を感覚的に理解して使う

5 実験計画法と分散分析モデル———ブナ林を再生する
5.1 伐採されても蘇える森
5.2 母樹を残して種子をまいてもらう
5.3 林業試験地とその復元
5.4 分散分析モデルと AIC
5.5 モデルの結果からわかること
5.6 分散分析モデルに対する不満
5.7 処理の影響と元からある空間変異
5.8 分散分析による違い有無の仮説検定
5.9 仮説検定論と統計モデリング
5.10 長期森林研究と古い試験地の維持・復元

6 データを無駄にしないモデリング———動物の再捕獲失敗
は有益な情報
6.1 動物の個体数推定
6.2 標識–再捕獲調査
6.3 再捕獲調査の繰返しで得られる情報
6.4 統計モデルによる捕獲率と生残率の同時推定
6.5 2 回の再捕獲調査からモデルで推定できること
6.6 CJS モデル
6.7 現実的なモデリングへ拡張させる試み
6.8 単純化されたモデルへの抵抗感

7 空間データの点過程モデル—樹木の分布と種子の散布
7.1 大木のまわりの稚幼樹の分布
7.2 2 本の成木が隣接していると ··· ?
7.3 成木のまわりの稚幼樹分布のモデル化
7.4 木は n 本あったという情報
7.5 ポアソン分布
7.6 2 次元の場合
7.7 一般の領域の場合
7.8 非定常ポアソン過程
7.9 非定常ポアソン過程の尤度式
7.10 成木が隣接していてもパラメータは推定可能
7.11 非定常ポアソン過程の検定法
7.12 遺伝子情報を加えたモデリングも可能

8 データの特性を映す確率分布———飛ぶ鳥の気持ちを知りたい
8.1 角度のデータをどう扱うか
8.2 水鳥が飛んだ軌跡
8.3 同じように飛んでいるように見えるけど ···
8.4 確率分布への我儘な要望
8.5 対称な確率分布
8.6 非対称な確率分布を作る
8.7 鳥が飛んだ方向データへ適用する
8.8 統計モデルが語る 1 羽の海鳥のある 1 日の物語
8.9 大空を鳥のように自由に飛ぶ?
8.10 時系列モデルの必要性に到達する
8.11 統計モデルで鳥と会話する?

9 ベイズ統計への序章———もっと自由にモデリングしたい
9.1 どの大きさだと枯死しやすいか
9.2 1 次のロジスティック回帰モデル
9.3 U 字型曲線を生成できるモデル
9.4 直径と死亡率の関係から見える種多様性
9.5 最初に数式を決めるモデルへの不満
9.6 任意の形状の曲線を作ることができるモデル
9.7 2 つの要望の間のトレードオフ
9.8 ベイズ統計によりトレードオフを定式化する
9.9 最大化以外の計算法を活用する
9.10 様々な不満にベイズの枠組みで対応する時代
9.11 自由にパラメータを用いるモデルの時代へ
9.12 共同研究という科学論

問の解答
参考文献
ギリシア文字一覧表
索  引

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著者紹介

島谷健一郎 (しまたに  けんいちろう)
統計数理研究所准教授
1980 年  神奈川県立希望が丘高等学校卒業
1984 年  京都大学理学部卒業
1992 年  京都大学大学院理学研究科数理解析専攻満期退学
代々木ゼミナール講師などを経て 1995 年からミシガン州立大学
大学院森林科学科へ留学、2000 年中退
2000 年  統計数理研究所助手
2009 年より現職
連絡先: 統計数理研究所:〒 190-8562 東京都立川市緑町 10-3
shimatan@ism.ac.jp

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