Interviewee
田中 賢一1969年7月 宮崎県生まれ
1990年3月 国立都城工業高等専門学校電気工学科卒業
1992年3月 九州工業大学工学部電気工学科卒業
1994年3月 九州工業大学大学院工学研究科博士前期課程修了
九州工業大学工学部助手などを経て,現在,長崎総合科学大学共通教育部門教授.
博士(工学)(九州工業大学)
電子情報通信学会,映像情報メディア学会,画像電子学会,各会員
IEEE Senior Member
画像処理,ホログラフィ,機械学習,教育工学などの研究に従事.
著者の田中 賢一 先生に著書の特徴や教科書の使い方のポイントなどをお伺いしました。
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Q. どのようなことを意識して『初学者のための画像メディア工学』(以下:本書)をご執筆されましたか。
田中ーかつて執筆した教科書(「画像メディア工学」共立出版)が出版後15年経過したところです。当時は地上ディジタル放送が始まったばかりの時期でしたので、その点に重きがありましたが、いまはストリーミングによる動画視聴が主流になりつつありますので、世の中の動きなどに対応して、内容の修正をして、実用的かつ初学者向きの教科書となるように意識して執筆しました。また、画像処理における画像は過去においてLenaが多用されておりましたが、その画像が学術論文に使われることがなくなり、取り巻く世相が大きく変わってきたことをうけて異なる画像に変えました。さらに、理解を深めたり、広げたりすることを目的として、コラムも随所に組み入れました。
Q. 教科書として使いやすいように工夫した点を教えてください。
田中ーいまは高等教育機関における講義は14~15回が主流かと思われますので、章の数を14としました。また、厳密さよりも理解しやすさに重きを置きましたので、図版はできるだけ簡素化するよう心掛けております。どちらかといえば初学者向けの入門書的な要素を意識しておりますが、高等教育機関で幅広く使えるよう、教員の解説が理解を助けるような余地を持たせて執筆しております。また、光に関する説明を行うことを念頭に置き、一部に応用数学(フーリエ変換)に関わる章を起こしております。
Q. 教える立場での本書の使い方のポイントなどがあれば教えてください。
田中ーいま画像の処理や生成を教える科目であったり教科書であったりするものは多数あると承知しておりますが、ハードウェアに軸足を置いた教科書は未だに多くはないものと思われますので、この教科書をご利用いただき仕組みという部分に主眼を置いた講義となれば良いのではないかと思っております。また、ゼミナール形式であったりコロキウム形式の授業を展開するための副教材としても良いのではないかと思っております。
Q. 自習など自学で使うときの本書の使い方のポイントなどがあれば教えてください。
田中ー多くの場合、画像の表示デバイスや、撮像デバイスの仕組みまで書きましたので、ハードウェアに関わる知識まで得ていただき、幅の広い教養や識見が得られるような学びを進めていただければと思っております。たとえば、液晶だったり有機ELだったりという言葉は「聞いたことはあるけど仕組みまではよくわからない」から、概要がわかる程度になるように書いたつもりですから、何回も読み、わからない言葉は調べるなどして理解を深めることができるとよいだろうと思っております。
Q. インタビューをお読みいただいた皆様へメッセージをお願いします。
田中ーこのテキストは、どちらかといえばハードウェア寄りの内容が多いとみられますが、それに対する理解を深めることによって、学びの幅が大きく広がるだろうと考えます。ここ数年ありました半導体不足の危機を経て、いまやハードウェアに力を入れる時代になるのではないかと見られますので、画像機器を手始めにハードウェアにも興味を持っていただき、幅広い識見を得ていただきたいと願っております。
田中先生お忙しい中、誠にありがとうございました。
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【株式会社 近代科学社】
株式会社近代科学社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:大塚浩昭)は、1959年創立。
数学・数理科学・情報科学・情報工学を基軸とする学術専門書や、理工学系の大学向け教科書等、理工学専門分野を広くカバーする出版事業を展開しています。自然科学の基礎的な知識に留まらず、その高度な活用が要求される現代のニーズに応えるべく、古典から最新の学際分野まで幅広く扱っています。また、主要学会・協会や著名研究機関と連携し、世界標準となる学問レベルを追求しています。